見附太陽光発電所 JAPEX初のメガソーラーとして 建設・運営ノウハウを構築

見附太陽光発電所
太陽光発電でのPPAビジネス展開を
目指した一号案件

原田大輔
Profile

電力事業本部
再生可能エネルギー事業一部 
太陽光グループ
原田大輔

石油化学系エンジニアリング会社での施工管理業務を経て、2022年2月に「事業会社側で上流工程から携わりたい」と中途入社。入社後、風力グループで技術面を担当。2023年6月より太陽光グループに移り、見附太陽光発電所プロジェクトの設計の確認や施工会社との調整業務などを担う。

「見附太陽光発電所」について

「見附太陽光発電所」について

見附太陽光発電所は、新潟県見附市の当社事業所敷地内にある、当社2か所目の太陽光発電所です。年間約29.5万kWhの発電量があり、発電した電力はすべて隣接する当社グループ会社のエスケイ産業(株)見附ガス化学工場に、オンサイトPPAのスキームで供給しています。これによって、同工場では年間約176トンのCO2排出量の削減に繋げ、環境負荷の低減に貢献しています。

設備容量
250kW
稼働開始
2023年
運営主体
石油資源開発(株)
見附太陽光発電所基礎工事の模様
杭の周囲をコンクリートで補強

杭の周囲をコンクリートで補強

積雪量より高い位置にパネルを設置

積雪量より高い位置にパネルを設置

見附太陽光発電所基礎工事の模様

見附に太陽光発電施設を
開設した経緯とは?

私たちJAPEXは、2021年に「2050年カーボンニュートラル社会の実現」を目指し、「JAPEX2050」計画を策定しました。これにより、従来の石油・天然ガスの探鉱・開発・生産事業に加え、脱炭素社会に向けた技術開発と再生可能エネルギー事業への参画を拡大し、カーボンニュートラル社会でのエネルギー安定供給を目指しています。2050年には自社のCO2排出量をネットゼロにし、持続可能な社会の実現を図る方針です。
この一環として、新潟県に見附太陽光発電所を開設することになりました。
当社第一号の太陽光発電所である北海道事業所メガソーラーは*FIT制度に基づいて運営されていますが、2022年度から*FIP制度が新設され、新たな制度下での事業化検討が必要となりました。FIP制度下では自ら電力の販売先を見つけ、PPAの契約を締結し長期間の安定供給を継続させるといった、これまでにないノウハウが必要となります。そのため、JAPEXグループ全体のCO2排出量削減と、本格的な事業化の一歩目として、グループ会社であるエスケイ産業(株)へのサービス提供を行うことにし、適地として見附事業所の遊休地を選定しました。

* FIT制度:Feed-in Tariff(再生可能エネルギーの固定価格買取)制度の略。再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。

* FIP制度:Feed-in Premium制度の略で、再エネ発電事業者が卸市場などで売電した価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする制度。

杭の周囲をコンクリートで補強

杭の周囲をコンクリートで補強

見附太陽光発電所の開設には
どのような課題や苦労がありましたか?

ビジネス面では、PPAスキームによる契約ノウハウや制度理解が最重要となりましたが、社内法務部門の協力や他社の事例を参考にするなどして知見を獲得していきました。
建設面においては、最大で2.1mもの積雪が見込まれる豪雪地域への対策として発電モジュールの架台の軒の高さが2.3mと通常より倍以上の高さにする工夫もしています。これにより建設コストも増大することになり、採算が合うようにプロジェクト全体のコスト見直しを何度も行いました。
加えて非常に軟弱な地盤であったことから基礎工事では大きな問題が起こりました。当該地の地質の軟弱さは想定以上で 、基礎の試験で強度に問題が出ることがわかったのです。地質を踏まえて基礎の設計を行っていたのですが、小口径の杭を使用する際には土質調査結果通りの設計値が出ない場合があると判明し、杭の周囲をコンクリートで補強を行うことで再度の耐力試験をクリアさせることができました。

積雪量より高い位置にパネルを設置

積雪量より高い位置にパネルを設置

課題はどのように
解決したのでしょうか?

お客様に電力を供給するという重大な責任を負うプロジェクトとして工期を遅らせることはできません。また、コストもできる限り抑制することが求められます。そうした条件を踏まえながらも、第一に適切な原因の追究、第二に効果的な対応策の検討、最後に工期とコストを鑑みて選択を行いました。
今回の対応は建築の世界では一般的ではあるものの、太陽光事業者の中には対策を施工業者に丸投げにすることもままあると聞いたことがあります。その点、当社には人任せにせず、当事者として解決することを通じて技術的知見を蓄積していくカルチャーがあり、自らの設備に責任を持っているからこそ適切な対応ができたのだと思います。日本でも有数の豪雪地帯での経験は、どんなに厳しい環境でも太陽光発電所を用意することができるという大きな自信になっています。

「見附太陽光発電所」の今後について

見附太陽光発電所は、運転開始以来順調に稼働しています。発電量予測は、結果的に想定よりも10%ほど多い発電実績を続けています。こうした実績が、再エネ電力を提供する事業者としての信頼につながると自負しています。
2024年の9月段階で、見附太陽光発電所の成果を踏まえ、新たに複数の太陽光発電所の計画が進んでいます。カーボンニュートラル社会実現への貢献、エネルギーの安定供給を目指す当社は、今後グループ外のお客様にオフサイトPPAで電力を供給できる発電所を中心に開発を行い、積極的に太陽光事業を展開していきます。

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