
北海道事業所メガソーラー発電所
JAPEX初のメガソーラーとして
建設・運営ノウハウを構築

電力事業本部
再生可能エネルギー事業一部
太陽光グループ 担当部長
板屋尚志
1994年4月に新卒で入社後、土木のスペシャリストとして石油・天然ガスの掘削敷地土地造成や新潟・仙台間ガスパイプライン建設、勇払プラント増設、相馬LNG基地建設などの大規模プロジェクトに関わる。現在は、太陽光発電所建設の土木領域を担うほか、グループ内の技術責任者としてプロジェクト統括に従事。
「北海道事業所メガソーラー発電所」について

北海道苫小牧市の当社事業所敷地内に設置した、北海道事業所メガソーラー発電所。一般家庭約*600世帯分の年間電力消費量に相当する約250万kWh/年を発電する能力を持ち、発電した電力は全量を*FIT制度を活用し売電しています。2014年に当社初のメガソーラーとして開設以来、安定稼働を続け、環境負荷の低減や地域社会の発展に貢献しています。
*データ参照元:環境省(2024)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/01/
*FIT制度:Feed-in Tariff(再生可能エネルギーの固定価格買取)制度の略。再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。
- 設備容量
- 1,800kW
- 稼働開始
- 2014年8月
- 運営主体
- 石油資源開発(株)

北海道苫小牧市に太陽光発電施設を
建設した経緯とは?
私たちJAPEXは設立以来、石油や天然ガスの探鉱・開発・生産を手掛けてきました。また、油ガス田掘削ノウハウを活用できる地熱発電事業にも取り組んできましたが、太陽光など他の再生可能エネルギーを含めた「総合エネルギー企業」となるビジョンを描いていました。
しかし、2011年に東日本大震災が発生。電力確保が社会的な課題となる中、2012年にはFIT制度が導入されたこともあり、新規事業として太陽光発電への進出を決めたのです。そして真っ先に白羽の矢が立ったのが北海道の苫小牧市でした。まずは北海道事業所内の自社遊休地を活用する形でメガソーラーを建設することになりました。

基礎製作ヤードでプレハブの鉄筋を並べていく、
仕上げ組立作業
どのような課題や苦労が
ありましたか?
当社初のメガソーラーでしたので社内に知見はなく、油ガス田プラント建設で協業関係にあったエンジニアリング会社などと協力し、ノウハウを得ながら設計を完了しました。
太陽電池モジュールを設置する架台の基礎は鉄筋コンクリートを採用しましたが、今回の工事において最初で最大の壁となったのが、この基礎の施工方法でした。設計内容には問題はないのですが、設計時にはあまり想定していなかった現場施工について工夫が必要となったのです。
この基礎構造物は所定の位置で一つひとつ木の型枠をつくり、鉄筋を組み立ててコンクリートを流し込む計画でしたが、その数が2,724基もあり、天候の影響を受けやすい屋外工事ということもあって想定以上に時間がかかることが判明したからです 。FIT制度申請では運転開始期限が定められており、工期内の完工は必須でしたが「このままでは無理」という事態に陥りました。

所定の位置に並べた鉄筋コンクリート基礎
いったいどのように
解決したのでしょうか?
解決に向けて、すぐに設計者や施工会社と打開策の検討を開始しました。
協議を重ねた結果、鉄筋を工場でプレハブ化するとともに、現場に鉄筋コンクリート基礎製作ヤードを新設しそこでプレキャスト化して一度に大量に製作することで、作業時間を削減させることにしたのです。
これによって工期を大幅に削減でき、無事に工期内に完成させることができました。発注者・受注者の立場関係なくワンチームとして団結できた結果だと自負しています。
「北海道事業所メガソーラー発電所」の今後について
北海道事業所メガソーラー発電所は、2014年の運転開始以来、今日までO&M(Operation & Maintenance:運用保守)を重ね、必要なノウハウを蓄積しながら安定稼働を持続させています。このノウハウが、その後に開設した見附太陽光発電所などの施工や運営に生かされていることは言うまでもありません。 JAPEXは、1955年の設立以来、日本のエネルギー安定供給に貢献すべく、石油や天然ガスの探鉱・開発・生産を通じて技術力や操業力を高めてきました。その事業の中で、ライフラインを守る存在としての信頼性を何よりも重視するカルチャーを構築してきたと言えます。このカルチャーは太陽光発電においても全く変わらず、適地の調査から設計、協力会社との施工・O&Mまでを一貫しての“エネルギーの安定供給”にこだわってまいります。
