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技術情報

技術紹介

JAPEXは、技術本部に石油・天然ガスの探鉱および開発(E&P;Exploration and Production)に係る技術者や研究者を結集し、多様な技術課題に対応する環境を整備しています。そして、E&Pに係る技術力の維持・向上のため、要素技術の整理、最新情報の収集、新技術の実地適用の検討、ならびに国内外の坑井や生産・操業施設の設計・建設(掘削)に対する技術支援や評価などを実施しています。そして、これらを通じて当社の事業、ひいてはE&P 業界の発展に貢献しています。

当社の技術者は、地下の様子をより精緻にとらえて石油・天然ガスの商業的発見・開発の成功率を向上させることと、坑井から安全かつ効率的に石油・天然ガスを取り出すことを基本的なミッションとしています。石油・天然ガスE&P における汎用技術の習熟と応用、発展に加え、新たな技術の開発、検証や実地適用についても、意欲的に取り組んでいます。

三次元地震探査とサイズミック地形学

次世代海洋資源調査技術

ERD(大偏距掘削)

地質モデリング技術

貯留層シミュレーション技術

先端坑井生産技術

三次元地震探査とサイズミック地形学

石油・天然ガスの探鉱において、貯留層の分布形態の推定は、探鉱リスクを減らすために重要な課題です。

2000年代初頭から、三次元反射法地震探査データが持っている振幅、波形や周波数などの情報を高精度に解析し、貯留層の分布形態を可視化するSeismic Geomorphology(震探地形学)が発達してきました。これまでは一次元もしくは二次元データによってしか推定できなかった貯留層の分布形態を、三次元で解析することが可能になりました。

JAPEXでは、2007年頃から国内外の多くのフィールドでこの手法を導入しており、堆積学やシーケンス層序学の概念をあわせて解析することによって、貯留層堆積時の地形(河川、海底扇状地、炭酸塩岩リーフなど)を復元し、貯留層分布の推定を行っています。その結果は、石油・天然ガスの探鉱・開発のための地質モデル構築や貯留層キャラクタリゼーションの基礎データとして使われています。

三次元地震探査データ
三次元地震探査データ

海底扇状地システムの三次元表示
海底扇状地システムの三次元表示
(緑~オレンジ色の部分に貯留層が分布)

注)これらの図は、国内石油・天然ガス基礎調査の基礎物理探査データを、資源エネルギー庁と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の許可により当社が借り受け、当社において独自に解析した結果を示したものです。

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次世代海洋資源調査技術

わが国の領海および排他的経済水域は、約464 万平方キロメートルと非常に広大で、そこには多くの海底鉱物資源が眠っていると考えられています。そして、それらの鉱物資源を高精度、かつ効率的に低コストで調査する技術は、海洋資源の開発に必須です。

JAPEXは、石油開発で培った技術と経験をもとに海洋調査技術の開発へ貢献するため、民間3社とともに次世代海洋資源調査技術研究組合(J-MARES)を、2014年12月に設立しました。J-MARESでは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの課題のひとつである「次世代海洋資源技術(海のジパング計画)」の一環として、海底熱水鉱床を対象に世界に先駆けて技術開発を進め、さまざまな情報・データを統合した調査システムの開発と実用化を目指しています。

開発している調査システムは、概査から精査までの流れのなかで、音波探査や電磁探査に化学調査を交えた適切な手法を組み合わせて調査を行い、有望なエリアを絞り込んでいくものです。また、当該調査手法の石油開発への技術的フィードバックも期待されています。

海底設置型音波探査(VCS)によるデータ取得模式図
海底設置型音波探査(VCS)によるデータ取得模式図

深海曳航型音波探査(ACS)によるデータ取得模式図
深海曳航型音波探査(ACS)によるデータ取得模式図

関連リンク

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ERD(大偏距掘削)

石油・天然ガスを求めてより遠くの場所へ掘り進める掘削技術「ERD(Extended Reach Drilling:大偏距掘削)」が、近年注目を集めています。

石油・天然ガスが存在する地下構造に向けて坑井、いわゆる石油・天然ガスの試掘や生産を行うための井戸を掘る際に、その真上に山や河川、市街地などがあると、有望地点の真上から垂直に掘ることができないことがあります。その場合は、少し離れた場所から傾斜掘り技術を駆使して坑井を掘り進めますが、この技術を進化させてさらに高い傾斜の坑井を掘り進むことで、水平方向により遠くの場所まで坑井を掘ることができるようになりました。

近年はこの技術を積極的に採用し、陸上基地から遠く離れた海底の地下に眠る石油・天然ガスを採収するための坑井を掘る、つまりERD技術を使うことや、石油・天然ガスが存在する地層を水平に掘り進むことで、より効率的に石油・天然ガスを回収できる坑井に仕上げることも可能となりました。

日本国内の坑井でもこの技術は応用されており、JAPEXでも大偏距、大深度における坑井掘削の実績を積んできています。2015年に北海道苫小牧市で、坑井の掘り始めから到達点までの水平距離となる偏距が4,346mと、東京スカイツリー7つを横に並べた長さに匹敵する、国内最長の大偏距井を完掘しました(掘削長5,800m、垂直深度2,753m)。また、同じく苫小牧市で2014年には、地下4,600m以上という大深度で、500m以上の水平坑を掘削しています。

大偏距井掘削の実績例
大偏距井掘削の実績例 

2015年に大偏距井を掘削したリグ
2015年に大偏距井を掘削したリグ

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地質モデリング技術

石油・天然ガスが分布する地下数千メートルの地質は実際には見ることができないため、限られた情報をもとに地質モデルを組み立てて地下の状態を推測し、評価作業を進めます。地質モデルはここ十数年で精緻化が進み、「三次元数値地質モデル」へと進化しています。

「三次元数値地質モデル」は、さまざまな調査で収集した地下構造、貯留岩性状や油・ガス分布などの情報が三次元的にコンピューター上で表現されたもので、その進化にはコンピューター技術の発達や三次元地震探査が大きな役割を果たしてきました。さらに最近では、地球統計学的手法を駆使して、より高度な地質モデルが作成できるようになっています。

地質モデルは、特に開発フィールドにおいて、開発井のロケーションや掘進する坑跡の決定、貯留層流動シミュレーションへの入力に不可欠なものとなっています。また探鉱フィールドにおいても、三次元数値地質モデルを作成して原始埋蔵量を推定する、という流れが定着しつつあります。

三次元地質モデル例
三次元地質モデルの例(高橋ほか 2006)*1

地球統計学的手法を用いた高分解能なモデル構築の実現
地球統計学的手法を用いた
高分解能なモデル構築の実現(山本 2008)*2

*1:高橋明久・古瀬雅己・柏原功治・溝畑茂治・島田信仁・中山徹・鳥越隆弘・辻隆司,2006,オイルサンド貯留層三次元地質モデルの構築.物理探査,59, 3, 233-244
*2:山本浩士,2008,岩船沖油田における海底扇状地堆積物の貯留層キャラクタリゼーション.石油技術協会誌,73,453-463.

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貯留層シミュレーション技術

地質構造や岩石特性などの地質データや知見をもとに、地下に油やガスがどのように存在しているのかを可視化したモデルを、地質モデルと呼びます。そしてその地質モデルをもとに、地下で油やガスがどのように動くのかを可視化したモデルを、貯留層モデルと呼びます。この貯留層モデルを用いたコンピューターによる数値計算により将来予測を行う技術が貯留層シミュレーション技術であり、どのような回収方法が最も安全かつ経済的で、その貯留層にとって効率よく効果的な開発計画を提案できるか特定するために使われます。

将来予測を行う際は、地下から得られる限られた情報には不確実性が必ず存在しており、その影響に留意しておく必要があります。そのために、感度分析や地球統計学的手法などを駆使することで不確実性を考慮し、地質データと生産データの双方に矛盾しないような複数の貯留層モデルから候補となるモデルを絞り込んでいきます。そして、絞り込まれたいくつかの貯留層モデルから、今後生産できる油やガスの量を幅で捉えた将来予測を実施し反映させることでプロジェクトを頑強にするなど、探鉱開発の最適化に努めています。

4つの異なる貯留層モデル
4つの異なる貯留層モデル

4つの異なる貯留層モデルでの将来予測
4つの異なる貯留層モデルでの将来予測

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先端坑井生産技術

近年、石油・天然ガスの効率的な回収を目指し坑井ごとの生産能力向上を追求する分野として、坑井および生産の分野にまたがるProduction Engineering(PE)のニーズが高まっています。これは、国内油ガス田の二次・三次回収(IOR; Improved Oil Recovery)適用や、タイトオイル、メタンハイドレードなどの非在来型資源開発に不可欠な人工採油、坑井刺激(酸処理、フラクチャリング)、出砂対策(グラベルパック等)といった技術分野が重要になってきており、これらの専門的な技術を獲得し適用する機会が増えているためです。

JAPEXでは、2013年に、鮎川油ガス田(秋田県由利本荘市)の既存坑井を用いて女川タイト層での酸処理テストを行い、その後2回のフローテストで一定量のタイトオイルの産出を確認、2014年4月の商業生産への移行につなげました。また、2014年には福米沢油ガス田(秋田県男鹿市)において、タイトオイル開発を目的とする国内初の水平井多段フラクチャリングを実施しました。

鮎川油ガス田における酸処理テストの様子
鮎川油ガス田における酸処理テストの様子

福米沢油田でのタイトオイル開発フラクチャリング作業
福米沢油田でのタイトオイル開発フラクチャリング作業

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